高齢者が年々激増している日本において、墓地・霊園等のエンディングサービスは今後ますます需要が高まると考えられています。しかし消費者側のライフスタイルに大きな変化が見られる中で、墓地・霊園の宣伝方法に四苦八苦をしているというケースも少なくありません。
そんな中、宣伝反響が得られるマーケティングとして再び脚光を浴びているのが「ポスティング」という方法です。なぜポスティングチラシの効果が見直されているのでしょうか?ここでは墓地霊園の宣伝におけるポスティングチラシの効果と成功事例についてご紹介していきます。
墓地霊園におけるポスティングの効果とは?
1)地域密着型宣伝で「地元志向」に寄り添う
かつては墓地霊園というと「出身地の寺の墓地、もしくは親から受け継いだ墓に」という選択を行う率が高かったのですが、近年では核家族化・少子化によって消費者の志向にも変化が見られています。「子供・孫へと受け継ぎやすい場所」「長く住んだ土地に近い場所」といった選択を行う人が多くなり、「より今住んでいる土地に近い墓地霊園」を探す人が増えたのです。
「自分の家から徒歩、もしくは少々の交通機関利用で行ける場所に墓地が欲しい」このような志向に寄り添う形として、エリアを指定したチラシ配布が行えるポスティングは有効な手段となっています。
2)ターゲット層を絞って宣伝コスト削減
墓地霊園の契約に消費者側が興味を持つのは、多くの場合50才を過ぎてからです。子育てが一段落したり、自分の親たちを看取ることになってはじめて「そろそろ墓のことを考えなくては」となるわけですね。反対に20代・30代のファミリー層等の場合、目前の子育てや将来設計等に意識を向けていますから、墓地霊園についての興味を惹くのはやや難しくなります。つまりターゲット層を広く取りすぎた大規模宣伝を行うと、その費用に対して反響度が低く、コストパフォーマンスが悪くなってしまうのです。
その点、配布エリアを細かく指定できるポスティングでは、例えば「高齢者層の多いエリア」「ファミリー層の多い集合住宅」といったターゲット層を絞り込むチラシ配布が行なえます。メインターゲット層に絞り込んだマーケティングを行うことで、コストを抑えながら成約率を上げることもできるのです。
3)自然に手に取るチラシで好感度・信頼度をアップ
墓地霊園のマーケティングというと、かつては電話による宣伝(テレマーケティング)が主流でした。しかしオレオレ詐欺・振り込め詐欺といった電話による詐欺被害の問題が急増し、TV等のメディアで不審電話への注意喚起がなされるようになったことで、テレマーケティングへの不信感は急激に上昇しています。また近年ではメインの電話を携帯電話へと切り替える高齢者層も増加しており、「知らない電話に出ない」という対応を行う消費者の数も増えました。
企業としての好感度を下げかねない上に「無駄打ち」が増えるテレマでは、今後の大幅な成約率の上昇は見込みにくいのが現状です。その点、各戸のポストへと投函されるチラシについては、実に90%以上が「どんなチラシなのかを見てみる」と答えています。潜在的ニーズを持っている高齢者層であればチラシをよく読む確率は更に高く、テレマのような「押し売りをされている」といった好感度の低下が起こる心配もありません。
また接触回数が多いほどサービス提供企業への好感度・信頼度が上がりやすいため、複数回のチラシ配布が行われることで反響を更に伸ばしていくこともできます。
4)保存性の高さで家族間への拡散・情報共有を狙う
墓地霊園の契約を行う際、「同居する家族にまったく相談をしない」というケースはほとんどありません。「そろそろ墓地を」「こんな霊園がある」といった話を夫婦・家族間で進めていくのが一般的です。「紙面」という形で手元に残り一目で情報が把握しやすいチラシは、このような家族間での拡散や情報共有に非常に向いています。
墓地霊園におけるポスティング成功事例
墓地霊園サービスを行うA社では、従来のテレマーケティング宣伝による契約数の伸び悩みを見せていました。そのため霊園周辺のエリアの中でも、特に高齢者が多いとされる地域に向けたポスティングチラシ配布を開始。若年層の多い単身者向けアパート等を避けて一戸建て・高齢ファミリー向けの集合住宅に集中した配布を行ったのです。
第1回配布では袋入りカラー版大型チラシを配布し、チラシ破棄率の低下・認知度及びイメージの上昇を狙いました。また第2回以降のチラシ配布では人気の高まると思われる区画情報を「数量限定/期間限定」といった形で情報拡散し、消費者に値打ち感を感じさせる希少性を高めていったのです。ターゲット層を絞り込んだマーケティングを行ったことで宣伝コストの抑制に繋がっただけでなく、問い合わせ率・資料請求率は前年比の300%近く、成約率は従来のマーケティング方法の200%にまで上げることに成功しました。
おわりに
墓地霊園はその他の商品と比べて高額な商品となることから、消費者側も慎重に検討を重ねることになります。そのためチラシ配布は1回で終わらせるのではなく、複数回の定期的配布を行いながら未来顧客の興味を掴み、契約へのハードルを下げていくことが大切です。