日銀のマイナス金利政策によって、メガバンクですら本業で苦戦が続いている現在の日本。各地銀でも業務純益が20~30%ダウンというレベルが珍しく無く、またローン販売といった事業開拓に苦戦をしている銀行も目立っています。そんな「銀行苦境」の中で再度注目をされているのが、昔ながらの宣伝媒体である「ポスティングチラシ」というマーケティング法です。なぜ今、ポスティングによる集客力が期待されているのでしょうか?ここでは銀行宣伝におけるポスティングチラシの集客効果と、宣伝による成功事例についてご紹介していきます。
銀行の宣伝におけるポスティングチラシの集客効果とは?
1)「期間限定性」による需要のアップ
ポスティングチラシの大きな強みが、「潜在的需要を持っている顧客に対しても働きかけができる」という点です。例えば住宅ローンの場合、現在住宅ローンを借りる予定である人は既に需要が顕在化しているわけですから、積極的に情報を集めますよね。手持ちのスマホやPCを使って、オンラインで情報を取得する人も居ることでしょう。
しかし一度ローンを組んだ人の場合、なかなか「借り換え」に対して積極的に情報を集めようとする人は居ません。「借り換えをやった方がトクかもしれない」とは思いつつ、優先順位が下がってしまっている(潜在化している)状態なのです。「やってくる客を捉える」というオンラインのマーケティングでは、このような潜在的な顧客を捕まえるのは難しいところ。こちらから「こんな良い可能性がありますよ」という積極的な働きかけ=アウトバウンドマーケティングを行うことが必要です。各戸のポストに直接届けられるポスティングチラシは、このようなアウトバウンド宣伝にうってつけというわけですね。
特に「期間限定」といった限定性を示す製品・サービスについては、消費者は強い興味関心を示す傾向にあります。ポスティングチラシで「限定性」を強く打ち出すことによって、「借り換えやローン・定期預金等はまだ先で良い」と考えていた潜在的な見込み客の需要を掘り出すことができるのです。
≪例≫
・金利優遇キャンペーン
・子ども定期預金特別キャンペーン
・春の定期預金キャンペーン 等
2)「特典」でライトユーザー層にアピール
熱心に情報を調べている人でない限り、ローンや定期預金の情報だけを示されても「オトクさ」はピンとは来ないもの。例えば「こども定期預金・今なら年金利0.22%!」と言われても、初めて子どもの定期預金を組む親にはなかなかその「特別感」は伝わらないでしょう。ごくカンタンに言えば、銀行側が考えているのに比較して一般消費者には「ライトユーザー層」が多いのです。
このようなライトユーザー層を手軽に惹きつける手段としては「特典(オファー)」の存在が挙げられます。例えば前述の「こども預金」なら、子ども向けのアイスクリームギフト券、おもちゃ商品券があたるスクラッチカードといった具合ですね。季節性商品・便利家電等、消費者側が「ほしいとは思うけれど、わざわざ買うのはためらう」といった製品を提示するのでも良いでしょう。特典がひとつあるかどうかで、ローン説明会等への参加率にも大きな変化が見られやすくなります。
このような「特典の存在」を大きく示すことで、チラシを見た人はまず最初にその部分に惹きつけられます。銀行関連のチラシは「パッと見た時」の紙面が硬く「難しげ」に見えてしまいがちですが、特典の見せ方を工夫することで紙面の印象を和らげれば、ファミリー層や高齢者層等の反応率アップも狙えるのです。
3)ターゲットを絞り込んで効率的にマーケティング
宣伝の効率を上げるためには、製品に合ったターゲットに宣伝メッセージを届ける必要がありますよね。例えば「住宅ローン借り換え」のチラシを20代の若者が受け取っても、まったくピンとは来ないでしょう。ターゲット以外の層にいくら多量の宣伝を行っても、宣伝のロスが増えるばかりです。反対に製品・サービスを「魅力的だ」と感じる層が多い地域・建物に対して宣伝を行えば、反応率を上げていくことが期待できます。
ポスティングでは国勢調査・不動産調査等から抽出したデータを元に、エリアを細かく絞り込んだチラシ配布を行うことも可能です。例えば「40代男性が多い地域」「子どもが多い地域」等を選定し、集中的にチラシ配布を行うこともできます。また宣伝する製品によっては、「一戸建て指定」「マンション指定」といった配布建物の指定を行うのも手です。
銀行のポスティングチラシ宣伝成功事例
地銀であるA銀行は、住宅ローン説明会の宣伝にポスティングチラシを採用。支店の周辺に若いファミリー層が増えていることを考慮し、チラシは小さな子どものいるファミリー向けを狙ったカジュアルでかわいらしいデザインにしました。また説明会にはキッズスペースがあること、子どもが喜ぶプレゼントがあること等を強調。ローン優遇期限を敢えて「今月末まで!」と区切ることで、限定性のアピールも行っています。
チラシ配布は支店周辺地域を中心に、30代~40代のファミリー層が多い地域・子どもが多い地域を指定しました。ターゲットを絞り込んだチラシへの反応は良く、翌週末・翌々週末に行われた説明会への参加率は宣伝改善前の催事に比べて230%にまで上昇。多くの契約を獲得することに成功しています。
おわりに
ポスティングチラシによるマーケティングでは、「ターゲットの選定」を絞り込み、それに合わせたデザイン・キャッチコピーを使用することでより反応率が上がっていきます。今回推していきたい製品・サービスのターゲット層はどの世代なのか、ターゲットの家族構成はどのようなものなのかを考え、チラシ作りを行っていきましょう。