チラシの反応率とは、配布枚数に対して来店・購買といったアクションがあった数の割合を示したものです。チラシの反応率の平均値は業界・業種によって異なりますが、0.004%~0.3%で推移することがほとんど。ところがチラシの作り方によっては、反応率1%といった高い反響を呼び起こせることもあると言われています。
反応率1%ということは、10,000枚を配れば100人、20,000枚を配れば200人が集まる計算です。反応率を少しでも高めることが、今後の店舗経営・企業経営を大きく変えていきます。
では反応率の高いチラシを作るには、どのような点に注意すればよいのでしょうか?ここではポスティングやチラシ制作のプロも使っている「チラシ作りのテクニック」を、9つのポイントにまとめて解説していきます。
1.商材の「強み」を3つに絞り込もう
チラシ制作を見直す前に、まずは売り出すべき商材(店舗や製品、サービス)について、「何が強みとなるのか?」を見直しましょう。どこにでもある・どこにでも売っているもの、特徴がわからないものに対しては、人間は興味を持ちません!チラシの反応率は下がったまま…ということになります。
「何かが突出している」「どこかに魅力がある」からこそ、「気になる」「買おうかな?」「行こうかな?」と考えるのです。
・使用者や用途を絞り込んでみる:女性専用、子供用、朝用・夜用など
・大きさや色に特徴をもたせる:超ビッグカツ、メガ盛り、青いドーナツ等
・大規模・小規模をアピールする:従業員二人の家庭的な居酒屋、5Fビル全体がカラオケ店等
・実績・経歴を見直す:創業50年以上、受賞経験あり等
アピールするべき「強み」を洗い出したら、それを「最大3つ」までに絞り込みます。「ウチの店舗はアレも良い、コレも良い」といくつも美点を並べ立ててしまうと、印象はかえって散漫になってしまいがちです。チラシの反応率を上げるには、「強みを絞り込む」が重要なのです。
2.「何のチラシか?」を1秒で理解させよう
ポスティングされたチラシを手にとった人は、すべてのチラシを隅から隅までじっくりと眺めたりはしません。チラシを目にする時間は平均「1秒」だけ!この1秒で「読むべきチラシか、そうでないチラシか」を判断されるのです。
チラシを読んでもらうためには、まず最初の1秒で「このチラシが何の店舗(何の製品)を宣伝しているチラシなのか」を読者に理解させる必要があります。1秒見ても「何のチラシか、よくわからない」というものを、それ以上読者は読み込まないのです。
スピーディーにチラシの種類を判別してもらうために、以下のような方法を取り入れましょう。
【サービスに直結する画像を目立たせる】
<<例>>
・ピザのデリバリー → 焼き立てのピザの画像を大きく配置
・子供用の英語塾 → 外国人の先生と日本人の子供達の授業風景、アルファベットを配置
・ネイルサロン → 美しく整えられたジェルネイルの画像を配置
どんな人にも感覚的に理解してもらいやすい方法です。特に食品類の場合、「おいしそう!」と感じさせる画像を大きく配置することが読者の潜在的な食欲を呼び覚まします。
【店名よりも「サービス」をアピールする】
近年では、店名で業種が判別できないタイプのお店が増えました。例えば「サロン・ドゥ・ブリュ・エ・ルージュ(Salone Des Bleu et Rouge)」というお店があったとしましょう。このお店が「ティーサロン(カフェ)」や「ケーキ屋」なのか、「ヘアサロン」なのか、「ネイルサロン」なのか、はたまた「雑貨店」なのか、名前で判断できる人はいませんよね。
また「事務所」「医院」という名前でも同じです。例えば「野比のび太事務所」「野比クリニック」という名前ばかりがアピールされても、「何の事務所?」「何ができる病院?」とはわかりません。店名ばかりを強調するチラシは、先程説明した「1秒で何のチラシか理解させる」というポイントを外しているのです。
もちろん、お店の店名を変えたり事務所名を変えろ!というわけではないのでご安心ください。こんな時には、「サービス内容」がすぐに理解できるキャッチコピーを作り、そちらが目立つデザインを取り入れましょう。
<<例>>
・サロン・ドゥ・ブリュ・エ・ルージュのキャッチコピー → 「パリ仕込みの本格パンをあなたに。」
・野比のび太事務所のキャッチコピー → 「離婚の時に頼れる弁護士がココに居ます!」
・野比クリニックのキャッチコピー → 「アレルギーは良くならないと思っていませんか?」
3.キャッチコピーは「客を主役」に考えよう
キャッチコピーは「もっとも目立つ位置に配置する文」です。キャッチコピーの良し悪しで、チラシの反応率は大きく上下します。ところがキャッチコピーの作り方については大きな誤解があり、この点がチラシの反応率を下げているケースも珍しくありません。
「キャッチコピー = 最大限にアピールしたいポイント」というのは、確かに正解ではあります。だからといって、「店舗・起業側が言いたいことを言えばOK」というわけではないのです。
・弁護士事務所の場合 : 20年続く実績のある事務所!
・美容院の場合 : ベテランスタイリストが多数所属!
一見すると普通のコピーですが、これらのキャッチコピーだけではチラシ反応率はほぼ上げられません。それはなぜか?「客のメリットがすぐに見つからない」からです!
実績のある事務所だと、一体どんなメリットを客は受けることができるのでしょうか?ベテランスタイリストがいると、客はどんな良い特典が受けられますか?自分達が客に伝えたいメッセージではなく、「客」を主役にしたメリットを打ち出すようにしてみましょう。
●弁護士事務所の場合 : 返済に悩む日々から抜け出しませんか?(客のメリット:借金返済を終わらせられる、悩みから開放される)
●美容院の場合: 極上のカット技術で、ワンランク上のあなたに。(客のメリット:髪型でキレイになれる、魅力を引き出してもらえる)
ほんの少しの言葉の使い方で、チラシの反応率は大きく上がるのです。
4.「笑顔の写真」でホッとさせよう
初めて見るお店や企業・製品に対して、読者は不信感を抱くもの。「もしかしたら悪徳業者かもしれない」「大手の知っている名前の会社じゃないし」「大丈夫かな?」…このような不信感を「安心感」に変換させてくれるのが、「経営者・従業員の笑顔の写真」です。
人間は「顔が見える相手」に対して、無条件に警戒をほどく心理的傾向を持っています。「顔写真」がチラシにあるだけで、対面式の店舗と同じような安心感を相手に与えることができるのです。消費者は「顔を出しているのだから、悪いことはしないだろう」「顔出しOKであるほど、製品の品質に自信があるのだろう」と無意識に考えるわけですね。
特に「スタッフ・経営者の『笑顔』の写真」は、読者側の緊張感をほどく強い効果を持っています。ある小規模な通販会社では、公式ホームページで社長が「顔出し」をしたところ、売上が前年の20%増をしたケースも見られるほど。「誰が作って、売っているのか」を知らせることは、消費者に絶大な安心感をもたらすのです。
5.「数値」で信頼度を高めよう
まずは以下の例文を見てみましょう。
A:私達は長年この製品を作り続け、たくさんのお客様に好評をいただいてきました。
B:私達は20年間この製品を作り続け、87%のお客様に「満足」とご回答いただきました。
A例とB例、どちらの製品の方が「良さそうな製品だ」と感じましたか?B例の方が「本当に良い品である気がする…」と感じた人が多いはず。人間は「数」を出された方が、「信頼の高い情報である」と考える傾向を持っているのです。
A例では「長年」「たくさん」といった漠然とした言葉しか使っていませんが、B例では「20年」「87%」といった『数値』を文章に取り入れています。たったこの2つのデータだけでも、商品に対する信憑性がググっとアップするというわけなんですね。
・年数:創業50年
・月数:2ヶ月後の変わった自分を見て!
・日数:7日煮込んだおいしさ
・時間(秒):30秒でスルッと汚れが落ちる!
・人数:年間1,000人が受けています!
・満足度:満足度85%
・リピート度:91%のリピート率
・売れ行き順:当店ナンバーワン人気 等
キャッチコピーや説明文では、上記のような「数値」を用いることを意識してみましょう。
6.「お客様の声」を取り入れてみよう
消費者が求めているのは、製品やサービスそのものではありません。実際に「欲しい!」と感じているのは、その製品やサービスを利用したことによる「未来のより良い自分」です。例えば「ダイエット食品」を欲しがっている人は、ダイエット食品そのものではなく、それを飲んだことでスリムになり、日々を明るく生きている自分--というイメージを買っているわけです。
この「未来の自分」を具体的にイメージさせられるかどうかが、チラシの反応率を上げるポイントとなります。
具体的なイメージを作る要素となるのが、その製品を購入して使用した「その他の客の声」(カスタマーズボイス、購入者レビュー)です。
<<カスタマーズボイスの例:ダイエット食品の場合>>
・購入者の顔写真
・購入者の名前(仮名でもOK) S.Kさん
・年代 30代
・性別 女性
・使ってみた感想「思っていたよりも飲みやすくてビックリ!毎日1回置き換えれば良いだけなので、無理せず続けることができました。2ヶ月後にはウエストが5センチダウン!諦めていた昔のスカートが履けるようになりました!」
「年代」「性別」といった属性に近いものがあれば、消費者はさらに「自分もこの結果が得られる」「より良い自分になれる」というイメージを強く描きます。年代・性別等を変えたカスタマーズボイスを2~3パターンを掲載できると理想的です。
7.「オファー」が最大の後押しに
チラシの反応率を大きく上げるポイントとなるのが「オファー(特典)」の存在です。
・10%割引クーポン
・粗品進呈
・1時間無料サービス
・ドリンク1杯サービス
・サイドメニュー無料
・ランクアップサービス
・グレードアッププラン無料 等
上記のような特典があるという点が大きくアピールされていると、チラシ読者は「トクができる!」と感じ、チラシをしっかりと読み込んでくれます。また自分に合うサービス・製品の場合、「買ってみよう」「行ってみよう」と考えるハードルがグッと下がるのです。
「オファー(特典)がある」ということが早い段階で理解できるよう、アピールしたデザインにすることも大切。パッと見て「クーポン」「無料」といった言葉が目に飛び込むようにしておくだけで、チラシをじっくりと読んでもらえる確率が上がります。
8.スムーズにアクセスさせよう
チラシの反応率を上げるために最後に気をつけたいのが、「客のアクセスの足を引っ張らない」という点です。
例えば、チラシを見た客が「この店に行ってみようかな?」と思ったとしましょう。でもチラシに地図が載っていない…このような時、地図情報を調べようとする客はわずか20%程度。ほとんどの客はそこで「もういいや!」と、チラシを捨ててしまうのです。
・店名
・住所
・地図情報(実店舗での販売形式の場合)
・営業時間(フリーダイヤルの場合はその点をアピール)
・電話番号
・Eメールアドレス
・公式サイトのURL+Googleでの検索ワード
・SNS(Twitter、Instagram、LINE等)のID
・サイトアクセスもしくはSNSへのQRコード
チラシ掲載に必須の情報は上記のとおりですが、掲載の優先順位は業種・業態によって変わります。例えば電話での注文が欲しいなら、電話番号を大きく掲載しましょう。Webサイトの予約フォームに誘導したいなら、URLを書くだけでなく、QRコードやGoogleの検索ワードも付け足して、客がさらに手軽にアクセスできるようにすることが大切です。
おわりに
チラシの反応率を上げるためのコツはいかがでしたか?どのような業種・業態の場合でも、反応率が高いチラシでは、上記のようなポイントが必ず押さえられています。
同じような製品・サービスを売っている場合でも、広告チラシの作り方を少し意識するだけで、ポスティング・チラシの反響率・反応率は大きく変わってくるのです。チラシ宣伝の効果を出すために、さっそく今日からチラシの中身を見直してみましょう。