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チラシの効果を上げる配布回数や配布頻度は?単純接触効果で反響率は伸びる!

チラシ

ネット広告が盛んとなった現在でも、根強く支持される「チラシ」を使った宣伝。特に近年では地域性の高い事業とチラシ広告の親和性の高さ、商圏を限定した小中企業の宣伝とチラシの相性の良さ等が再注目され、「チラシ」という広告媒体を見直す企業が増えています。とは言え、チラシ宣伝は「ただチラシを作って配れば良い」というものではありません。チラシによる集客効果を十分に引き出すためには、適切な配布回数・配布頻度等を考える必要もあるのです。今回はチラシを配布する回数や頻度を決める上で知っておきたい5つのヒントをご紹介していきます。

 

1.チラシ配布回数は「複数回」がコツ!

チラシ配布
「宣伝のチラシは一度配ればおわり」と思っていませんか?初めて自社・自店舗の宣伝を行う人は、チラシの配布回数・配布頻度についてこのような誤解をしてしまいがちです。1回の宣伝でどんどんお客様が来店し、その後も何度も来るリピーターとなってくれる…こんな結果になればもちろん理想的ですが、残念ながらチラシはそこまで短期間に急激な集客効果をもたらす魔法の紙ではありません。

新聞折込チラシやポスティングチラシ等の初回反響度(来店・問い合わせ等のアクションが起こる率)は、平均0.01%~0.3%(※業種により異なる)と言われています。反響度0.3%とは、1000枚を配って3人が問い合わせ(あるいは来店)をしてくるということ。「考えていたより少ない」と感じた人もいるのではないでしょうか?

「チラシ配布は1回」と決めつけている人はこの初回の反響で配布を終わらせてしまい、「チラシでは反響が出ない」「ポスティングには効果が無い」と思い込んでしまうのです。

「単純接触効果」で反響度は伸びる

チラシの反響率は、一般的に初回配布よりも2回目、2回目よりも3回目…と徐々に上がっていきます。これには様々な理由がありますが、大きな要因となるのが「単純接触効果」という心理的要素です。

「単純接触効果(ザイアンスの単純接触効果)」とは、1960年代にアメリカの心理学者により提唱された心理法則のこと。対人関係においては「熟知性の原則」とも呼ばれます。名前を聞くとちょっと難しそうですが、その内容はいたってシンプルです。「目に触れた回数・耳にした回数が多いほど、人間はその対象物に対して好感を持つ」--これが単純接触効果の基本的な考え方となります。

例えばあなたがこれから保険に入るとしましょう。まったく名前を聞いたことのないA社の保険と、何度もCMで目にしたことがあるB社の保険。複数のパンフレットが置いてあったら、まずはB社の方を「読んでみよう」と思いませんか?CMで保険内容を細かく聞いて覚えているというわけではなくても、「名前を聞いた」「CMに出てくるキャラクターを知っている」…そんな「単純接触」があるだけで、人間はその対象に対し好意や信頼を抱きがちなのです。

この好意対象は「企業」や「人物」だけでなく、「図形」「キャラクター」「匂い」「味」「色」等、様々なものに対して起こります。はじめは店舗名を覚えられなくても、キャラクターの顔をなんとなく覚えたり、店舗のロゴの色を無意識に記憶したり…チラシが何度も配られて徐々にこのような「接触回数」が増えると、見込み客側の店舗・企業に対する好感度は徐々に高まります。これが「行ってみよう!」「買ってみよう!」という来店・購買アクションに繋がるわけです。

小売店舗の中には、複数回の定期的なチラシ配布を行ったことで反響率を2%~3%近くにまで伸ばす店舗も見られます。大企業が何度も繰り返してCMを打つように、小中企業は「チラシ」で複数回の宣伝を行うのが基本なんですね。

 

2.認知度が低い時こそ「チラシ配布頻度」を上げる

チラシ配布頻度は「好感度」だけでなく「顧客の記憶への残り方」とも大きな関連性を持っています。今までにCMやチラシ等の宣伝を見た時の経験を思い出してみましょう。印象に残っているCMやチラシってありますか?この質問をした時、多くの人があげるCMやチラシは「大手企業のもの」もしくは「家の近所で知っている店舗のもの」がほとんど。

自分にまったく馴染みの無い店舗・企業の宣伝をいつまでも覚えているという人は、なかなか居ません。人間の記憶力は、私達が考えているよりもかなり限定されているのです。

回数アップで「店舗を覚えさせる」

心理学者エビングの実験によれば、人間は1回触れて暗記した情報でも、30分後には実にその4割を忘れてしまうことがわかっています。1日が経過すれば、更に全体の7割の情報が脳から消去されているのだとか。

つまりチラシを1回配っただけでは、「新しくお店ができた」という情報すら多くの人が翌日には忘れているのですね。これではなかなか店舗の認知度を上げることはできない…と思う方が多いでしょう。

ところがこの記憶の消去(=忘却)を防ぐ方法があります・それが「情報との接触回数」なのです。人間は1回見聞きしたことはすぐに忘れてしまいますが、2回・3回と反復することで徐々に物事を忘れにくくなっていきます。大手企業のCMのキャッチフレーズや誰が出演しているのかまでを覚えているのは、何度も何度もその情報に触れているため。

これと同じで何度かチラシ宣伝を繰り返すことが、店舗自体の「認知度」を上げることに繋がるのです。そのためチラシの配布頻度は、「認知度が低い時」にこそ上げるべきと言えます。

【配布頻度を上げるべき事例】
・オープンしたばかりの店舗(店舗に対する認知度の低さ)
・周辺エリア内に初出店したチェーン店舗(運営企業に対する地域の認知度の低さ)
・一般的に知られていない取扱製品やサービスの店舗(業種に対する認知度の低さ)
・立地が良くない店舗(視認による認知度の低さ)
・新製品・新サービスの登場時  等

例えば新しい店舗の開店フェアの場合、開店2~3週間前に「事前告知」として予告的なチラシを配布し、開店直後に再度詳細なチラシを配布する…といった手が使われることも多いです。

 

3.記憶を呼び起こす「チラシ配布のタイミング」

では認知度が高まった状態=店舗を覚えてもらった状態であれば、チラシはもう配布しなくても良いのでしょうか? 残念ながらそうとは言えません。行動心理学によれば、人間がパッと思い出せる店舗とは、今まで行ったことのある店舗のうちのわずか10%未満なのだとか。「3回~4回以上の来店(またはサービス利用)」が無い場合、店舗の存在は表層的な記憶からほとんど消えてしまうと言われています。

つまりよほどの常連客でない限り、一度来店したお客様でも店舗・企業の存在を忘れてしまいがちなのです。

顧客をリピーターに育てるためには、店舗のことを「定期的に思い出してもらう」という必要があります。「そういえばこんな店(こんなサービス)があったな、使おうかな」と、顧客の記憶を呼び起こす--定期的なチラシ宣伝には、こんな意味もあるのですね。なお認知度定着後の「定期的なチラシ配布」については、理想的なチラシ配布頻度が業種によってかなり異なってきます。これは「顧客のニーズが高まる周期」や「新製品の登場頻度」等に違いがあるためです。

【業種ごとのニーズ周期の違い】
↑ ニーズの頻度が高い
スーパーマーケット(毎週等)
ドラッグストア(毎週~1ヶ月毎等)
宅配弁当・宅配ピザ(1ヶ月~2ヶ月毎等)
外食店舗(1ヶ月~3ヶ月毎等)
美容院・ヘアサロン(2~3ヶ月毎)
ネイルサロン(2~3ヶ月毎)
整体・マッサージ(季節の切り替わり時期に需要が上がる)
宅配寿司(年末年始・季節切り替え等年3~4回)
学習塾(入塾時期は新学期・休暇中等年3~4回がピーク)
リサイクル関連(長期休暇時期等、年に2~3回)
大掃除、リフォーム関連(年に2~3回)
↓ ニーズの頻度が低い

見込み客の潜在的なニーズが高まっているタイミングを狙って定期的なチラシ配布を行えば、顧客側の忘却を防ぐだけでなく、即時的な来店アクション・購買アクションに繋がりやすくなります。チラシ反響度・チラシ反応度の上昇も狙えることでしょう。

ただし、上記のニーズ周期例はあくまでも一例です。例えば同じ「外食系の店舗」でも、日常的に使える店であればニーズは常に一定の高さを見せますし、特別感のある店ならばクリスマス等のイベント時期の方が急激にニーズは高まるもの。自社・自店舗のニーズが高まる時期はいつなのか?もう一度自社・自店舗のターゲット層のニーズのあり方を振り返ってみましょう。

 

4.エリアごとにチラシ配布頻度を変えるのも手

「ウチの店はまだ認知度が低いから、頻繁にチラシ宣伝を行った方がいいかも」「でもチラシの配布回数を上げると、宣伝費用がかさみそうだな…」と、頭を悩ませている店舗経営者の方も多いのではないでしょうか?そんな時には、エリアによってチラシの配布頻度・配布回数を切り替えてみるのも手です。例えば宣伝を強めるエリアに対しては月1回ペースで、その他のエリアには2ヶ月に一度のペースで…といったように、配布頻度を変えていくわけですね。

では、どのようにしてエリアを絞り込んでいけば良いのでしょうか? 1~2回チラシを配布してみると、「このエリアは反響が良い」「このエリアは反響があまり良くない」といった反響率の違いが少しずつ見えてきます。反響率が上下する原因には様々なものがありますが、一般的に「店舗のターゲット層が多く暮らすエリア」の方が反響率は高まるものです。

【店舗ターゲット層を決める要素例】
・性別
・年齢層
・家族構成
・定職の有無
・年収  等

例えば小学生向けの学習塾の宣伝の場合、小さな子どもが居るファミリー層が多く暮らすエリアの方が反響率が高まるのは当然ですよね。更に年収が高く、家族の教育に力を入れやすい家庭が多ければ、反響率はより一層高まります。つまり「チラシへの反応の良いエリア」には、まだまだ多くの潜在的ターゲット層が隠れている可能性が高いということ。

チラシの配布頻度を高めてアピールをすれば、更に多くの見込み客を獲得しやすくなるというわけです。ある程度のエリアを定めて配布頻度を上げれば、全体的にチラシの配布回数を増やすよりも配布コストはかさみません。

顧客情報を利用するのも手

配布回数・頻度を高めるエリアを決める手段には様々なものがあります。美容院やネイルサロン等、顧客情報をある程度お持ちの店舗であれば、既に管理している顧客情報を使ってみるのも手です。常連客が多いエリアや、いわゆる「太客」が多いエリアの近くには、店舗にとって理想的なターゲット層が住んでいる可能性が高くなります。せっかく取得した顧客情報を眠らせておくのはもったいないもの。顧客の属性を測る手段として、どんどん活用していきましょう。

 

5.過剰な宣伝は逆効果?

最後に気をつけておきたいのが、「単純接触効果」や「記憶の維持力」が上がるから…というところばかりを気にかけて、過剰な宣伝を行いすぎないという点です。確かに接触回数が多い方が、一般的に好感度は上がります。しかし短期間の急激な接触の増加には、相手がかえって「不信感」「不快感」を覚えることもあるのです。

少し極端な例ですが、「焼き芋屋」の車が1日に2回も3回も家の前に来たと考えてみてください。宣伝の声が大きければ「うるさい」と思う人も多いことでしょう。また例え静かに宣伝車が止まっているだけでも、毎日2回も来たら不気味で、「怖い」とすら思う人もいるのではないでしょうか?

これと同じで、「毎日のように同じチラシを配る」「ニーズ頻度が比較的低い業種が毎週のようにチラシを配る」というのは、宣伝的に逆効果になりかねない行為です。チラシの配布回数・配布頻度は「とにかく多ければ良い」というものではありません。見込み客側に不快感を持たれないよう、適切な間隔を取るようにしましょう。

 

おわりに

チラシの配布回数・配布頻度を決めるための5つのヒントはいかがだったでしょうか?チラシ配布等の宣伝を行う時、私達はついつい「経営者側・売り手側」の視点でばかり物を考えてしまいがちです。しかし宣伝効果を十分に引き出すためには、上記のような「顧客目線・顧客心理」を取り込み、顧客目線に立った宣伝を行うことが重要になってきます。チラシ反響度・反応度を高められるよう、いま一度「買い手の目線」に立ち戻って宣伝戦略を見直してみましょう。

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