「売れるチラシを作りたい!」と思った時、まず考えるべきはそのチラシを読む相手の性別です。現在作成中・配布中のチラシは、「男性向け」「女性向け」といったターゲットの性別を考えて作られたものですか? 女性の見込み客と男性の見込み客では、好むチラシの色やフォント・構成等のデザイン、好感を持つ説明文章の文体までもが違います。女性ウケするチラシ、男性ウケするチラシ作りのポイントをきちんと押さえることで、宣伝チラシの反響率・反応率はまったく違った数値を見せてくるのです。今回は宣伝チラシに対する男女の反応の違いについて、カラー配色・配置デザイン・説明文章内容等の多角的な視点から解説をしていきます。
女性向けチラシの作り方のポイント
まずは女性に好まれる宣伝チラシの作り方のコツを見ていきましょう。
女性に好まれるチラシの色・カラー配色とは
暖色系が定番人気
女性の好きな色というと「ピンク」と思われがちですね。確かに血色の良さを感じさせる色であるピンクは、古来から女性に好まれやすい色とされています。しかし必ずしも女性向けカラーはピンク一択というわけではありません。以下のような赤を含んだ「暖色系」のカラーは、全般的に女性から好感を得やすい傾向があります。
【カラーのイメージ例】
・赤:活気がある、活動的、食欲を湧かせる、エネルギッシュ
・ピンク:かわいい、柔らかい、ロマンチック
・オレンジ:快活、元気、家庭的
・紫:高貴、高級感がある、気品がある、艶やか
チラシの中でもパッと目を引くポイントカラーやベースカラーに上記のような暖色系カラーが使用されていると、ひと目見て「女性的な(女性向けの)チラシである」と認識されやすくなります。
寒色系でもパステルカラーならOK
では女性向けにはブルーやグリーン等の寒色系は使えないのか?というと、そんなことはありません。ブルーやグリーンを効果的に使用することで、女性の好む「ナチュラルな雰囲気」や「透明感」を演出することもできるのです。
ただしこの時に気をつけたいのが色の「トーン」です。彩度が高くクッキリ・ハッキリとした色合い(ビビッドトーンやストロングトーン)だと、女性は「怖そう」「堅苦しい」「敷居が高い」「重苦しい」といったマイナスイメージを持ってしまいやすくなります。反対に彩度を下げた「ペールトーン」や明るく軽い「ライトトーン」であれば、寒色系を用いても「爽やか」「楽しそう」「涼しげ」といったポジティブなイメージを持ってもらいやすくなるのです。
「色のトーン」と言われてピンと来ない方は、とりあえず「原色を使うのを避ける」ということを意識しましょう。女性は原色的なハッキリと強すぎる色合いはNG。反対に白い絵の具を混ぜたような淡い色彩を好みます。
「清潔感」「柔らかさ」がカラー配色のコツ
2色・3色以上のカラー配色をする場合には、色の組み合わせで「柔らかさ」「優しさ」「清潔感」を意識しましょう。同色系での配置を多くすると、まとまりがあり優しい印象になります。また全体の色の割合の中で「白」の割合を増やすと「清潔感」「高級感」等の印象が手軽に上がるので便利です。
女性ウケの良いチラシの配置デザイン・レイアウト
曲線を取り入れよう
女性は「円」「曲線」等、曲がった部分のある図形や配置に対して安心感を持ちます。
【例】
・写真を円形にトリミングして配置する
・キャッチコピーの文字を波形に配置する
・丸顔のイメージキャラクターを大きく配置する 等
チラシ紙面は元々四角いので、すべてを「円」で作ることは難しいですね。でも何箇所かに「円」「曲線」を感じさせる要素を取り入れることで紙面の中にも柔らかな印象を作れますよ。
「雰囲気重視」なら画像・余白は大きめで
女性向け宣伝チラシの場合、「情報量」を重視するか「雰囲気」を重視するかでも効果的なレイアウトは大きく変わってきます。安売りチラシといった「オトク感」をとにかくアピールするのであれば、スーパーのチラシのような情報量重視のチラシでもOK。しかしカフェやネイルサロン等の「雰囲気」が重要視される店舗の場合には、情報量を極限にまで抑えて画像を大きく、もしくは「余白」を大きく取ることを意識しましょう。余白を大きく取ることで「すっきり」「オシャレ」「ナチュラル」「モダン」といった印象が生まれます。
女性らしい素材はポイント使い
以下のような素材を用いると「女性らしさ」は更にアップします。
【女性らしさを意識させる素材】
・レース(レース柄)
・花・花束
・花柄
・リボン(リボン柄) 等
ただし「女性向けだから!」といって、これらの素材をそこかしこに使いすぎるのはNGです。「女性らしさ」を強く感じさせる素材をやたらに目立たせると、子供っぽい雰囲気になったり、安っぽさを感じさせることもあります。例えば「ピンクの地色に花柄のリボンを重ねて…」というのは「やりすぎ」なのです。あまり素材を重ねずに、紙面の中の1~2箇所にポイント使いをするようにしましょう。
女性に読まれるフォント選び
女性に好まれるフォント(書体)には以下のような傾向が見られます。
1)全体的に細字が好まれやすい
2)若年層(10代~20代前半)には丸ゴシック体、年齢層が上がると明朝体が好まれる
3)手書き風フォントも人気
4)縦組み(縦並び)の文字表現も人気がある
全体的な傾向としては「柔らかさ」「優しさ」を感じさせるフォント(丸ゴシック、細い明朝体等)が定番人気と言えるでしょう。
女性の購買意欲を上げる「ストーリー」
女性の購買意欲を上げるには、販売する「モノ」よりも、購入する「本人(ヒト)」が主役となれるストーリー作りが重要となります。例えば美容クリーム(モノ)の良さ(原材料や配合率等)をひたすら紹介するよりも、その美容クリームを使った女性(ヒト)がいかに良い状態となり、イキイキとした気持ちになれたか…といったストーリー性が重要となるのです。
【ストーリーを感じさせる例】
・「お客様の声」(製品の利用感想)を掲載する
・店舗内でサービスを受ける「利用者モデル」の写真を載せる 等
女性は男性に比べて「共感力」が強いので、チラシの中に出てくるモデル(利用者モデル)に比較的カンタンに自分を重ね合わせることができます。メインとなる女性顧客層が共感しやすい年代のモデルを選び、チラシの中に登場させてみましょう。
女性向けチラシでは「優しい文体」を意識
女性向けチラシのキャッチコピーや説明文章では、以下のようなポイントを意識します。
1)「です・ます言葉」は必須(だ・であるはNG)
2)「~ですよね?」「~ではありませんか?」等、問いかける言葉を織り込む
3)「フワフワ」「さらさら」「しっとり」等、擬音語・擬態語を多く使う
女性は言語に「優しさ」や「共感力」を求めます。そのため、柔らかい印象となる「ですます(丁寧語)」は必須です。新聞のような「だ・である文体」はマイナスイメージとなるので避けましょう。「ですよ」「ですね」等の文末語をつけると更にソフトな文体となります。女性の感覚的な部分を刺激する擬音語・擬態語を的確に使うことも大切です。
男性向けチラシの作り方のポイント
次に男性向けのチラシ作りのコツを見ていきましょう。女性向けのチラシとはコツが大きく異なります。
男性に好まれるチラシの色・カラー配色とは
寒色系と黒が強い人気
男性向けの広告宣伝では、寒色系と黒、金属系のカラーが根強い人気を得ています。
【カラーのイメージ例】
・青:誠実、真面目、冷静沈着、賢い
・水色:爽やか、海、雄大、おおらか
・緑:自然、落ち着き、ゆとり、リラックス
・黒:自信、強さ、高級感、夜、ちょいワル
・銀:クール、スタイリッシュ、都会的 等
ダークトーン+ポイントカラーでメリハリを
淡く柔らかなパステルトーン(白を加えたような色)を好む女性とは正反対で、男性は明度を抑えたグレイッシュトーンやダークトーン等の、濃く深い色合いを好みます。
【ダークトーンの例】
・ネイビーブルー
・ワインレッド
・濃いカーキグリーン
・ダークブラウン 等
しかしこれらの重め・濃いめの色合いと白のみでチラシを作成すると、紙面が地味になってしまいがちです。そこでポイントカラーにはハッキリとした原色(純色)を使い、迫力をもたせるようにましょう。例えば「ネイビーブルーの紙面にポイントカラーはハッキリとした黄色」「白+黒+赤」といった強いコントラストのあるカラー配色も、男性向けのチラシであれば好まれやすい傾向にあります。
男性ウケの良いチラシの配置デザイン・レイアウト
基本は「スッキリ配置」
男性向けのチラシデザインでは、パッと見で「ゴチャゴチャしている」という印象を与えないことが重要です。男性は女性に比べて「散らばった情報」を取得するのが苦手で、イラストや写真・文章等があちこちに配置されているとひと目で読むのを拒否してしまいます。以下のようなポイントを意識して、「スッキリ」「読みやすい」という印象を与えましょう
【例】
・写真と文章の位置がキレイに揃っている
・キャッチコピーの文字数が少ない
・縦書き・横書きが混在しない
直線的・スクエアなレイアウト
男性は直線的でピッタリと収まったレイアウトを好みます。また「強さ」「重さ」等が感じられるレイアウトも人気です。例えば高級自動車の広告等では、量感のある写真がセンターに大きく配置されることが多いです。あれも「大きな写真を」「中心に配置」というドッシリとした印象が、男性好みの高級感をアップさせているんですね。反対に「写真を不定形我に切り抜く」「キャッチコピーが縦・横・斜めに置かれている」といった変則型のレイアウトは男性向けにはあまり適しません。
男性に読まれるフォント選び
男性のフォントの好みには、以下のような傾向が見られます。
1)直線的である(丸みが少ない)
2)大きい文字のインパクトに惹きつけられる
3)太い文字のインパクトに惹きつけられる
4)シンプルなフォントが好まれやすい(手書き文字・POP文字等はNG)
男性向け宣伝で使われるフォントの定番と言えば「ゴシック体」が挙げられるでしょう。また女性に比べて「文字の大きさ・太さ」といった視覚的インパクトへの反応が強いのも男性の特徴です。女性向け宣伝が「情報量を抑えて余白を作る」であるとすれば、男性向け宣伝では「情報量を抑えて字を大きくする」が基本であると言えます。
スポーツ新聞の一面が良い例ですね。製品情報・キャッチコピー等の特に目立たせたい部分の文字を「極太ゴシック」等のフォントで大きくすれば、男性の目には止まりやすいでしょう。
男性の購買意欲を上げる「データとスペック」
女性の購買欲求をそそるポイントが「モノよりもヒト(自分)」であるのに対し、男性の購買意欲は徹底して「モノ」自体の情報を知ることによって生まれます。また女性が「感覚的・情緒的」な部分で好感度をアップするのに対して、男性はより「論理的」に物事を判断しようと考える傾向にあります。
そのため男性の購買意欲を上げるには、製品・サービスの「データ」「スペック」をできるだけ細かく紹介することが重要です。
【例】
・可能なかぎり数値化する(「つけ麺超大盛り」→「つけ麺超大盛り800グラム!」)
・棒グラフ・円グラフ等でグラフ化する、表であらわす
・原産地・作成工程を写真で丁寧に紹介する 等
男性向けチラシでは「シンプル文体」を意識
男性向けチラシの説明文やキャッチコピーでは、以下のようなポイントを意識します。
1)結論から始める
2)一文を短くする
3)シーンによっては「だ・である文体」もOK
4)シーンによっては「断定的」「命令形」もOK
女性が文章を「共感」のツールと考えるのに対し、男性は「情報伝達」のツールと捉えています。「いかに早く正確に情報を伝えるか?」がカギなのです。ですから女性向けのような修飾文が多い文は好まれません。少し長い文章の場合には結論から入り、一文をできるだけ短くして「シンプルさ」を重視しましょう。
また男性は立場や能力が上と思われる人間からの情報提供の場合、「断定系(~すべき等)」や「命令形(~しろ!)」といった強い言い切り型の文体でも内容を受け入れることができます。例えば「1ヶ月で痩せたいなら、この本を読め!」といった具合です。女性向けチラシでは「冷たい・怖い」と嫌われる「だ・である」文体やこれらの命令形・断定系もOKとされる点は、考慮しておくべきでしょう。
おわりに
女性向けチラシ・男性向けチラシの作り方のコツはいかがでしたか?女性が見て「きれい、かわいい」と思うチラシと男性が見て「コレいいな」と思うチラシでは、これだけの大きな違いがあります。会社側が「これが魅力的なはずだ!」と自信を持って作ったチラシが、ターゲット層側から観ると「まったく魅力がない」と感じられていることもあるのです。自社の製品・サービスのメインターゲットが女性なのか男性なのかをよく見極めて、ターゲット層の心に響くチラシを作るようにしましょう。